がん化学療法認定看護師　藤田美佐緒 外来で勤務した時に、抗がん剤治療を受ける患者さまが、大きな不安を抱えながらも、一生懸命前向きに生きる姿に感銘を受けました。 あるとき、抗がん剤の副作用で手指の皮膚が剥離して家事が辛いという女性患者さまがおられました。テーピングを勧めてみると楽になったと言ってくださり、お家でもテーピングのおかげで生活しやすくなったと笑顔で話してくださいました。そんな姿を見ると嬉しくて、もっと自分に出来ることはないかと思うたび、十分な知識がないもどかしさに苛まれ、専門的な知識を身につけて患者さまの不安に応えたいと思うようになりました。それが、認定看護師を目指した動機です。

認定看護師になってからは、外来で化学療法を受ける患者さまへの看護とともに、化学療法の副作用が強い入院中の患者さまへの看護について、直接介入したり、スタッフの相談にのったりしています。 外来では、抗がん剤を安全に確実に投与できるように管理し、患者さまの状態をアセスメントしてセルフケア能力が高まるように、患者さまご自身やご家族に指導をさせていただきます。また、患者さまが不安や辛さを一人で抱え込むことがないように、出来るだけじっくりお話を伺うように心がけるとともに、ご家族が自宅で患者さまをサポートできるように、私はご家族の気持ちをサポートするのも役割だと考えています。

認定看護師になって良かったと思った出来事はたくさんありますが、医師や看護師と共に一人の患者さまの治療方針や看護ケアについて話し合い、ご本人の希望を重視しながら、安心して治療が受けられるようにチームで関われるのはよろこびのひとつです。中には副作用で治療を中断せざるを得ないケースもあるのですが、患者さまがあきらめることなく治療が無事に完遂したときには、共によろこび、やりがいを感じます。 また私は、病棟を横断して緩和ケア回診を週に1回行っていますが、私が患者さまに直接介入するだけではなく、日ごろケアしている看護師の不安に応え、安全に化学療法が受けられる環境を整えたいと思います。私の役割は、外来と病棟の看護をつなぎ、橋渡しをしながら、化学療法を受ける患者さまの安全を守り、前向きに生きられるように、チーム全体で関われる体制づくりに貢献することだと考えています。 藤田美佐緒（がん化学療法認知看護師）